G1に昇格した大阪杯はどんな影響を与える?
2018/07/25
2017年から、これまでG2として施行されていた大阪杯がG1に昇格しました。古馬の中長距離路線を目指す陣営にとって、この昇格はどんな影響を与えるのでしょうか。
これまで、大阪杯は春の天皇賞か安田記念を目指す馬にとって重要な前哨戦でした。距離が2000mということもあり、春の天皇賞は距離が長すぎる馬にとっても、無理なく参加できる条件だったのがその理由です。この大阪杯が、今年からはG1となります。G1となれば賞金も上がりますから、当然ながらこのレースを目標にする馬も増えてくるはずです。
古馬にとって、春の目標となるレースは主に三つあります(ダート、牝馬限定を除く)。
一つは京都の3200mで行われる春の天皇賞、そして東京1600mで行われる安田記念、それから春のグランプリと呼ばれる阪神2200mの宝塚記念です。
ここで問題となるのが、春の天皇賞の距離です。3200mという距離は、スピード重視の現代競馬にとって、少し距離が長すぎると言われるようになってきました。
そのためスタミナに自信のない中距離タイプの馬は、ドバイや香港のレースを春の最大目標とするケースが増えています。その結果として、スターホースが日本の春競馬の大レースには出走しないケースが増えているのです。今年から大阪杯がG1に昇格したのは、この状況を改善するのが目的だと言えるでしょう。実際、春の目標を大阪杯と宣言する馬も報道されています。
その一頭が去年のダービー馬であるマカヒキです。マカヒキは、ダービーを勝ったあと菊花賞には向かわず、フランスの凱旋門賞に挑戦しました。
結果は惨敗でしたが、タフなスタミナが要求される凱旋門賞の条件は合っていなかったのかもしれません。ですから、同じくスタミナ勝負になる春の天皇賞に挑戦することにはリスクがあったはずです。また、大阪杯のG1昇格を歓迎している一頭と言えるでしょう。
もっとも、大阪杯がG1になっても、長距離レースが不向きな馬にとっては、春の天皇賞に向かうモチベーションにはあまりつながらないと予想されます。
さらに、宝塚記念が行われるのは梅雨時の暑い時期なので、馬のコンディションを考えると、宝塚は使わないという陣営も今まで通り残るかもしれません。春の古馬G1戦線をどのように盛り上げていくか、これからもJRAにとっては大きな課題となりそうです。
まずは今年の大阪杯がどのような結果になるのかを、興味深くみていきたいところですね。