サクセスストーリーを見届けるところに競馬の醍醐味があるように思います
2018/07/25
競馬はブラッドスポーツと呼ばれ、とにかく良血馬が高い評価を得ていく傾向にあります。
ところが、長年競馬をやっていると時として「何でこの血統からこんなに強い馬が?」と首をかしげてしまうような馬が登場してくることもまた事実なんですよね。
言ってみれば一般庶民から一気に駆け上がって、日本のトップに立つようなそんな感じでしょうか。家柄が良いわけでもなく学歴があるわけでもなく、突然変異的に能力を発揮して頂点に上り詰めていくわけです。そうした状況に自らの姿を重ね合わせて熱狂していくのでしょう。
最近の競馬では、モーリスという馬がそれに該当するでしょうか。父はスクリーンヒーローという馬で、確かに大きなレースであるジャパンカップを勝利していますが、伏兵的な人気での勝利で強さは感じさせてはくれませんでした。
母のメジロフランシスも、血統を遡っていけば重厚な名馬がチラホラ見当たりますが、自身の競走成績は未勝利のまま。それも最高着順が5着という散々たる成績です。
この凡百の両親から生まれた馬ですので、モーリス自身の取引価格1,050万円でも高額であると感じてしまうことでしょう(もっとも、一番最初の取引価格は150万円と非常に安い価格ですが)。しかし、この何の変哲もない血統から、日本のみならず海外の大レースまで制してしまう競走馬が出てしまうのですから、競馬とは面白いものです。
実は競馬はこの手の話がかなり多く、例えば1970年代のアメリカ競馬を代表する名馬シアトルスルーも格安の取引価格でオーナーの手に渡りました。
その後、シアトルスルーは競走馬としてアメリカの三冠レースを全て制し、さらには引退後の種牡馬としても活躍馬をキラ星の如く送り出しています。特に後継種牡馬のエーピーインディからは、名馬が次々と誕生。最終的な種付け料は30万ドルを超えたと言われ、良血とは程遠いなどと評された祖父シアトルスルーは一転して良血と相成ったわけですね。
ちなみに、エーピーインディの後継種牡馬であるタピットも種付け料は
30万ドルを超えており、その勢いは留まるところを知らない状況となっています。
このように、競馬は良血と呼ばれない馬でも一発逆転で王者になれるという魅力があります。
私たち一般庶民は、何かとお上の圧力に辟易しながらも「でも仕方が無いよな」と諦めていますよね。しかし競馬の場合、良血だろうが三流血統だろうが、実力のある者が下剋上的に駆け上がっていくわけです。
こうしたサクセスストーリーこそ、競馬を見続ける醍醐味なのかなと思います。